この 「第八回全日本中等学校剣道大会」では、古代の武人をモチーフとした図柄となっています。
彼の代表作「サロメ」や「灯下抱擁」などを見ても思うのですが、彼の骨格の無いような作風はどこから来てるのでょう?
陽咸二は、小倉右一郎門下で、かなりしっかりとした技術力があるだけに、これは彼なりの美意識ではないかと思うのですが。
まず、当時の作家たちに多大な影響を与えたクロアチア出身の彫刻家「イヴァン・メシュトロヴィッチ」からの影響も指摘できるでしょう。
ただ私は、このメダルの図形を見て、もう一つ影響を与えたものがあると思っています。
それが、「埴輪」です。
以前、「埴輪の美に就いて」と題して文を書きました。
高村光太郎の言う「此の明るく清らかな美の感覚」を、その造形性を取り込むことで陽咸二は表現しようとしたのではないでしょうか。
そのため、埴輪にある骨格が無く、丸っこい造形が彼の作風となっているのではないか。
彼の特質である和洋折衷的な感覚は、「イヴァン・メシュトロヴィッチ」と「埴輪」とを結びつけることをも行ったと言えるでしょう。