戦前に作成された朝日新聞社の記念メダルになります。
鹿にまたがる天使、天使の腕には松明。
鹿の周りには、花(梅?)が咲き乱れています。
作者はメダル内に「MOTO」とあります。
この銘に該当する彫刻家と言えば、泉二勝磨(もとじ かつま)ですが、どうでしょう?
今まで紹介しました朝日新聞社のメダルを制作した彫刻家といえば、北村西望、日名子実三、陽咸二らと特にこだわってこの作家というものでもないようです。
ただ、大阪朝日と東京朝日で作家の選別に若干と違いはある感じを受けます。
しかし、泉二勝磨作のメダルはコレクションしているメダルの中には無いのですよね。
泉二勝磨については、絵葉書で紹介したことがあります。
泉二勝磨 作「「東郷大将バルチック艦隊を睨む」 絵葉書
この若くして亡くなった作家のメダルであれば、とても貴重でありがたいのですが、いかんせん情報が少ない。
あるとしたら、代々木公園内にある、泉二勝磨が彫刻した「日本航空発始之地記念碑」が朝日新聞社によるもので、ここで朝日新聞との繋がりがあることがわかる程度でしょうか。
次にメダルの図からわかることを探ってみます。
先に書いたように、咲く梅の中で鹿にまたがる天使図です。
鹿に天使というモチーフで思い当たる物語はないんですよね。
あるとしたら、春日大社の建御雷之男神(タケミカヅチ)でしょうか。
でも、これは天使のような子供の姿ではありませんね。
作風としては、レリーフではありますが、立体感は薄いです。
切絵に厚みがあるかんじ。
もし、このメダルが泉二勝磨の作だとしたら、師であるジャン・デュナン(Jean Dunand)の影響かもしれませんね。
彼は漆芸家でこういった薄いレリーフを作ってますから。
あとは材質でしょうか。
このメダルは、アルミ製です。
アルミでできたメダルは 1942年(昭和17)とその翌年の明治神宮国民練成大会に用いられています。
明治神宮競技大会のメダル
1941(昭和16)年に公布された金属類回収令のあたりの年に、こういった素材のメダルが作られています。
このメダルもそのあたりの作なのでしょう。
泉二勝磨が亡くなったのは昭和19年ですから、時代的は合ってるのかも……
どれも決定打に欠けますね。
もう少し、調べてみます。