下の老人の作品は、日名子実三作「廃墟」。この作品は、 1920(大正9)年の第二回帝展に入選した作品で、翌年の1921年、第14回九州沖縄八県連合共進会に出品されました。
つまり、九州沖縄八県連合美術展とは、九州沖縄八県連合共進会という博覧会のの美術部門であるようです。この展覧会には、九州と沖縄の作家、洋画、日本画、彫刻家を一堂に会して行われたようですね。
この「廃墟」ですが、師朝倉文夫の「墓守」と比べると、より西欧的でキリスト教的な物語を感じさせる姿ですね。くどいというか、バター風味?
しかし、そこが日名子実三の持ち味なんですよね。
こういった作風が日本の古典と結びついて、後の日名子の作品らとなるのでしょう。
この作品は、現在大分大学学術情報拠点(図書館)に展示されています。
こちらのサイトで、当時の展示風景画が見られます。
ところで、弟である朝倉文夫は、この展覧会に出品しているのかな?
地方作家の展示というだけでは収まらない政治性があったのではないかと。
官展に地元の作家が入選すると、地元の街に日の丸が立った時代ですからね。
中央集権の為に美術があった時代なんでしょうね。
現在でも、地方の美術なんてことが言われます、美というのは常にヒエラルキーを背負っているものである以上、どこか頂点へと集権されてしまうのは致し方ないものなのでしょう。