2022年5月29日日曜日

佐世保市 村山義信銅像 建設寄附募集趣意書

 かつて佐世保の八幡神社境内にありました村山義信銅像。


戦前の銅像カタログ「偉人の梯」によれば、大正13年に建立、鋳造者は「桑野元次郎」。
高さ9尺、幅8尺6寸。工費に7400円
そして、建設者は「忠臣村山銅像建設会」となってます。

今回、その「忠臣村山銅像建設会」の建設寄附募集趣意書を手に入れましたので、紹介です。


銅像として建てられたのは、村山家の6代目、村山四郎義信です。
彼ら村山家は建武、延元、正平の時代に南朝の為、忠節を尽くした家柄として知られ、大正5年に特旨を以て正五位を追贈されたそうです。
この資料から贈位も契機となって、銅像建立の計画が立ち上がったことが読み取れます。
越後の村山家が、なぜ佐世保で銅像になるのかについては、こちらのブログで話されてます。
http://purapurasanwa.livedoor.blog/archives/20154828.html
『(越後の)頸城地域の地頭だった七代目 村山弥治郎隆義は歴戦し息子達と共に戦没。 しかし村山一族そのものは生き残り、謙信の父の頃は筒石城城主。景勝の頃は共に会津→米沢へ。鉄砲指南役になり明治期には砲台設置の関係で佐世保へ。』との事です。

こういった、「土地」と「血筋」の関係から、村山家特定の人物の銅像とせず、「忠臣村山氏銅像」を建てるといった趣意になったのでしょう。
これが「村山義信」の銅像を建てるとなれば、彼の活躍した越後でない佐世保に建てる意味が薄まりますからね。
皇居前に建てられた楠木正成像と同様の偉人像を建てたい当時の佐世保の人々が「村上氏」とすることで建立を可能にしたわけです。
もし、これがもう少し時代を下っていれば、「村上氏」というイメージを表したモニュメントを制作していたのでしょう。
しかし、大正のこの頃は、銅像と言えばまだ一個の人物を描くものだという考えであった為、「村山義信銅像」となってしまったのでしょうね。

2022年5月15日日曜日

金城実「沖縄を彫る」

GWは仙台の古書市と古本屋巡りをしてきました。
仙台市太白区にあります萬葉堂書店では地下の書庫に潜り、金城実「沖縄を彫る」サイン本 を買ってきました。





本日、5月15日は沖縄返還50周年ということで、この書を紹介します。

Wikiより
金城 実(きんじょう みのる、1939年 - )は、日本の彫刻家。沖縄県読谷村在住。
沖縄県浜比嘉島に生まれ、京都外国語大学卒業後、西宮市立西宮西高等学校や近畿大学附属高等学校で英語を教える傍ら、彫刻制作を始める。1986年に沖縄県読谷村で彫刻制作を村の人達と共に始める。沖縄靖国訴訟原告団の団長を務めている。強制動員真相究明ネットワーク呼びかけ人。

作品
「残波大獅子」 「長崎平和の母子像」 「チビチリガマ世代を結ぶ平和の像」 「隠れ念仏」、「抗議する農民」 - 三里塚闘争をモチーフにした作品で、空港反対デモで掲げられることもあった。現在は成田国際空港敷地内の団結小屋「横堀鉄塔」に設置されている。





先日のNHKのニュースで、沖縄本土復帰50年を特集し、本土の人間は沖縄の問題を当事者として考えなければならないと結んでいました。
沖縄の疎外、アイヌの疎外、朝鮮の疎外、従軍慰安婦の疎外、肌の色による疎外、性差による疎外......
これらを当事者として考えなければならない。

......そんなことが可能なのでしょうか?
私のパートナーが子育て時に感じていた疎外感にたいし、当事者として対応することにも必死だった私に、そんな世界中の疎外感を感じる人々の当事者でいられるなど可能なのでしょうか?
自信がありません。
人間は正しい未来にたいし努力すべきであり、いつか克服できるという理想主義は、私のような無能を救いはしませんし。

アートは理想主義の産物です。
そのため、政治とつながりやすい。
疎外のある所にアートがあります。
またアートによって疎外もつくられます。
良かれ悪しかれ、アートは疎外の苦しみをマッチポンプのように生みだしているわけです。

だから私は、ゴールデンカムイくらいの疎外への距離感が心地よく感じるのですよ。
ブヒィッ

2022年5月3日火曜日

「光──臺灣文化的啟蒙與自覺」カタログ

台湾の国立台北教育大学北師美術館で行われています「光──臺灣文化的啟蒙與自覺」に、私のコレクションから台湾出身の彫刻家「黃土水」の絵葉書を展示させて頂いていたご縁で、カタログを送って頂きました。
北師美術館の関係者の皆様、ありがとうございます。

私の所蔵する絵葉書も載せて頂いています。
ありがたいです。

私はこのカタログで初めて、「甘露水」の背面を見ることができたのですが、前から気になっていたのはこの女性像の髪型なんです。
https://www.moc.gov.tw/jp/information_132_142076.html
真ん中で分け、二つにまとめているのですが、これは当時の日本の女性の髪型なんでしょうか?
西洋上げ巻??でも違う様な。
もしかしたらこのカタログで説明されているのかもしれないのですが、如何せん中国語と英語で......

「光──臺灣文化的啟蒙與自覺」展は、今月から高雄市立美術館で巡回展が行われます。
https://www.kmfa.gov.tw/Exhibition.aspx
この展覧会でも絵葉書が展示されますので、どうぞ宜しく!