以前も紹介しました日名子実三による「国民精神作興体育大会参加章」メダルです。
なぜ、今回再びこの桃太郎のメダルを紹介するかと言えば、「鬼滅の刃」人気に便乗するため!
劇場版「無限列車編」は観に行きました?
私も行きました。
そして、感動とともに深く考えさせられました。
「鬼滅の刃」の物語は強い。ストーリだけでなく劇中の台詞も強い。
その強さは微塵も揺るがない炭治郎らの「正しさ」によります。
私の様なおっさんは、ガンダムでもジブリでも、エヴァでも、そんなアニメを観て育ち「正しさ」を疑うこと、それがサブカルチャーの在り方だと刷り込まれてきました。
私のブログもまた、日本美術の「正しさ」への懐疑が根底にあります。
そこで「鬼滅の刃」ですよ。
もちろん鬼にも事情はあり、それを描いてはいますが、だからと言って炭治郎が「正しさ」を疑い、揺れることはありません。
そういう「正しさ」を求める人が大勢いる。
きっとこれが、コロナ以降の世界のカルチャーなのかもしれないと思うわけです。
閉塞感から「正しさ」を求める時代…
かつてそんな時代がありました。
その時代に描かれた鬼を倒す物語。
それが昭和の戦時下での桃太郎です。
プロパガンダとしての桃太郎は、この時代の「正しさ」の象徴であり、戦争の「正しさ」を体現するキャラクターでした。
上記の桃太郎が描かれた「国民精神作興体育大会参加章」は昭和13年に行われた大会です。この年は国家総動員法が施行されます。
国民が自身の「正しさ」に酔った時代のその心に桃太郎が重なり表し、体育大会の参加者に手渡されたわけです。
桃太郎の物語は敗戦とともに「昔話」となります。
そして、サブカルチャーは戦時の文化を継承しつつ、複雑化していきます。
令和の時代に生まれ落ちた鬼退治の物語「鬼滅の刃」はどこへ向かうのか気にかかるところです。