2014年10月4日土曜日
彫刻家の著作
画像は、橋本平八著「純粋彫刻論」(昭和17年発行)です。
大正から昭和初期には、彫刻家の所謂彫刻ハウツー本が幾つか発売されます。
その理由は、一方で彫刻家自身が彫刻という仕事について多くに人に知らしめたく想い、他方で東京以外の地方の人々が彫刻について学びたいという希望があり、その上で本の出版技術が向上したからだと思われます。
画像で紹介した橋本平八著「純粋彫刻論」は異色の彫刻本ですが、他には
○藤井浩佑著「彫刻を試る人へ」(大正12)
○木村五郎著「木彫の技法」(大正15) 「木彫作程」(昭和8)
○長谷川栄作「彫塑の手ほどき」(昭和6)
彫刻だけでなく美術一般を啓蒙するハウツー本で「綜合美術研究(No.1~9)」(昭和8~9)や、石膏取りの方法を教える横田常吉著、黒岩淡哉校閲「誰にも出来る粘土細工と石膏細工」(昭和3)なんていう本も発行されています。
また、こういった本の中で、当時なによりも影響を与えただろう高村光太郎の「ロダンの言葉」「続ロダンの言葉」、そして彼の一連の著作。またハウツー以外にも石井鶴三の「凸凹のおばけ」(昭和13)なんてもあります。
以上は、私の蔵書ですが、他にも藤井浩佑の「犬通(いぬつう)」といった彫刻だけでない本まで発行されているんですね。
現在のように、ネットで誰もが発言でき、それが残っていく時代と異なり、こういった本は当時の彫刻家が何を考え作品を残していったのかがわかる貴重な資料ですね。
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