2017年12月3日日曜日

畑正吉 作 台湾勧業共進会メダル


畑正吉による「台湾勧業共進会」のメダルです。
「台湾勧業共進会」は、大正5年(1916年)に、日清戦争によって清から日本に割譲された台湾の産業の発展と奨励を目的に行われた博覧会です。
教育、学術及び衛生、美術工芸、農芸畜産、林業狩猟、水産、飲食品、鉱業、工業、機械及び機関、土木建築及び交通、原住民と96種類に渡って当時の台湾の産業の展示がなされました。

このメダルの特徴はその図柄にあります。
中心に女神、足元には第一会場本館となった台湾総統府。女神は羽根を背負い、そこから太陽のように照らしています。
手にはカレー...ではなく、古代中国の酒器を抱えているのだと思われます。
ギリシャ、ローマの女神が酒器を抱えているように、畑は台湾のメダルのデザインに、古代中国の酒器を選んだのでしょう。

そして、なにより特徴的なのは、そのシンメトリーな姿です。
アール・デコの影響を感じさせますが、アール・デコは1920年代に花開いたデザイン様式ですので、畑の仕事はそれより速く、大胆にも「台湾勧業共進会」という大舞台にこの最先端の美を用いたのだとわかります。

また、この「台湾勧業共進会」では、付属会場の図書館に日本内地の美術工芸品が、また北白川宮の馬上像(石膏)が展示されていたようです。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jssdj/48/1/48_KJ00001647619/_pdf
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/das/jsp/ja/ContentViewM.jsp?METAID=00841549&TYPE=IMAGE_FILE&POS=1

北白川宮の馬上像といえば新海竹太郎によって制作され明治36年(1903年)に北の丸に建立された北白川宮能久親王銅像でしょうか?
この像は木彫原型ですので、そこから石膏にしたものを展示したのかもしれません。

他に台湾に渡った作品はどういったものだったのでしょうね?
畑の作品もあったのかもしれませんね。

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