とても奇妙な作品です。
埴輪を模した女性像とでも言うのでしょうか?
作家は荒谷芳雄。作品名は「古墳時代」で、1929(昭和4)年に行われました帝国美術院第十回美術展覧会での出品作です。
これまで高村光太郎らの「埴輪の美」や後藤清一の作品などで埴輪について語ってきましたが、この作品はまた毛色が違います。
http://prewar-sculptors.blogspot.jp/2013/02/blog-post.html
戦前、埴輪の美が取り上げられたのは、それがモダニズムと結び付けられたからでした。
http://prewar-sculptors.blogspot.jp/2016/03/intermission_21.html
しかし、この「古墳時代」は、もっとプリミティブなものとして埴輪を考えているように思えます。
南洋文化の彫刻や黒人彫刻への評価と繋がっているようです。
この作品は、埴輪の形状を維持しながらも人体構造を抽象化して表し、くねって動きを与えています。
現在の私たちから見れば土偶に類似を感じます。
また、埴輪ではあまり無い女性像としたのは、こういったプリミティブ彫刻の影響なんでしょうか。それとも帝展という裸婦の乱立する展示に合わせてでしょうか。
サイズも気になります。焼き物の様ですが、どのくらいのサイズを焼き上げたのでしょう?大型の作品が入選した帝展ですから、実際の人のサイズ程はあったのかもしれません。
作者については、上野製作所標本部技師で、博物館の展示物を作る本職だったようですが、詳しい事は不明です。
まったく奇妙な作品で、現存しているのらなら是非拝んでみたい!
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