2018年7月10日火曜日

黄檗宗と近代彫刻

田中修二 (著)「近代日本彫刻史」を読む。
http://amzn.asia/cZ2Nqv4

日本近代彫刻史を全て語り尽くそうと試みた物凄い情報量の本。
田中修二さんの編集された「近代日本彫刻集成」3部作の別冊のようなもので、これらを歴史と言う縦軸で束ねています。
できることならば電子化され、Wikipediaのように各テキストから画像や細部の情報が表示されるような仕様が欲しい!

まだ読み出したばかりですが、感想をちょこちょここのブログに書いていこうと思っています。

まずは、近代に入る前の前近代、つまり江戸の彫刻文化については、黄檗宗が紹介されていて嬉しい。
江戸期に中国から渡った黄檗宗は、この所の江戸期の仏教の再評価によって注目されています。
近代美術史観によって否定されてきた江戸期の彫刻文化も、その豊かな地域性と多様性を見れば同様に再評価が必要だと思います。
そして、その中でも黄檗宗は、「わび・さび」でもなく、「粋」でもなく、「風流」とも違う美意識を日本にもたらした様で、とても興味深い。
2011年には黄檗宗大本山萬福寺開創350年記念と言うことで展覧会が行われたようです。
http://post.artgene.net/detail.php?EID=8308
見たかったな。

本地垂迹と言いますか、神さんも仏さんも一緒くたの江戸期の「日本教」における彫刻文化はまだまだ掘り下げられることが多そうです。
近代を生み出す土壌であったというより、近代と同価値の美意識の系譜の一つとして。
これからの研究に期待したいと思います。

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