2018年2月7日水曜日

Intermission 大正12年 森口多里の年賀状


大正12年は癸亥の年。この年に出された美術評論家森口多里の年賀状です。
古代ギリシャの壷に描かれた図と、自身の原稿とを組み合わせた隙の無い年賀状ですね。
お洒落です。

森口多里は戦前を代表する美術評論家で、抽象に入りかけた辺りまでの美術を積極的に言葉で表現します。
その仕事の幅は広く、彼の啓蒙力によって戦前の美術は作られたといっても良いくらいです。

しかし、現在は殆ど語られることがありません。
評論というのが前世代を否定することで成り立つためか、戦中ぐらいには、森口多里の仕事は古臭く思われていたようです。
そして、戦後は忘れられます。

しかし、日本美術史を知ろうと思えば、作品以上に、時代々の美術評論家たちの声を聞く必要があると思うのです。
美術評論の推移を体系的に知ること...こういったことが本当に重要です。
私たちが何者なのかを知る為にも。

そんな美術評論家を主体にした展覧会ってできないかな?
「岡倉天心から針生一郎まで 美術評論家は何を残したのか」なんて...

0 件のコメント:

コメントを投稿