http://www.sankei.com/life/news/170919/lif1709190053-n1.html
この作品は所在が不明だっただけで、新しく発見されたわけではないからこそ真筆と判断されたのでしょう。
もし、そういったまったく未知の雪舟が発見された場合、その鑑定は困難を極めるだろうと思います。
比較対象の雪舟の直筆作品は少ない上に、膨大な数の偽の作が存在するからです。
かつて、雪舟の絵は大名の娘の嫁入道具であり、そのため「雪舟」と銘された画が数多く生産された時代があります。
本義において、これらは贋作とは言えません。贋作とは、『他者を偽る意図をもって絵画、彫刻、書などの芸術品や工芸品に似せて模倣品を作成すること』であるからです。
ですが、現在ある「雪舟」作の幾つかがそうした『意図』をもって市場の裏側を回っているのでしょうね。
美術品を欲しいと願う人間がいて、それへの供給が間に合わない場合、必ず贋作は生まれます。そんな贋作は美術の一部だと思います。「なんでも鑑定団」はそういった贋作でもっている番組ですしね。
http://www.tv-tokyo.co.jp/kantei/kaiun_db/otakara/20120821/08.html
最近、レニー ソールズベリー 、アリー スジョ (著), 中山 ゆかり (翻訳)『偽りの来歴 ─ 20世紀最大の絵画詐欺事件』を読みました。
『自称・原子物理学研究者のドゥリューと、元美術教師のマイアット。生活に困窮していたマイアットは名画の模写の仕事がきっかけでドゥリューと知り合い、贋作作家となってしまう。「来歴がきちんとしていれば、ほとんどの売買は成立する」という美術界特有の慣習を知ったドゥリューは、寄贈や寄付の約束を餌にテート・ギャラリーなど著名美術館のアーカイヴに入り、偽造した展覧会目録や売買記録をファイルにはさみ込む。美術館アーカイヴに記録が存在すれば、マイアットが描いた贋作はお墨つきの「ほんもの」となって流通してしまうのである。』
詐欺師ドゥリューによって、マイアットの贋作が2百数点ほど世に放たれます。
そのいくつかは警察によって押収されたようですが、マイアットにとっての駄作であったジャコメッティの画など、未だどこかの壁に飾られているようです。
https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG24H4W_U5A021C1000000/
贋作画家マイアットは、刑に服した後、実際の画家として評価されるようになります。
こういうところが英国らしいですね。
マイアットの贋作教室『The Forger's Masterclass(偽造のマスタークラス)』という番組まであります。
マイアットは救われたようですが、実際詐欺師ドゥリューのせいで、周りの人間が皆不幸になっていきます。
そう、彼らの贋作からは、本物の美術作品が持つものと同等かそれ以上の人間の性(さが)を感じてしまいます。まさに『偽りの来歴』という来歴を、「贋作」というマイアットの作品が背負っていると思えるのです。
贋作をそれと知っていてコレクションする人もあるようですが、その気持ちもわかります。(現在、ドゥリューはアメリカにいるとのことですが、何をしているのでしょうね?)
さて、このブログで紹介しているようなメダルに贋作はあるのでしょうか?
どうも、勲章などはあるようですね。この分野はあまり詳しくないので紹介できません。
それと、以前に模造メダルについて書きました。
http://prewar-sculptors.blogspot.jp/2013/01/blog-post_16.html
しかし、これらもまた贋作とは呼べません。
では、これはどうでしょう?
『昭和12年 支那事変記念』のメダルです。
実はこのメダルには別のバージョンがあります。
実物が手元に無いので申し訳ないのですが、それは、黒の背景に兵隊の姿が金メッキされたメダルで、どうもそれが造幣局から出された正式なメダルだと思われます。
では、このメダルは何なのでしょう?
こういう記事もありました。
http://www.excite.co.jp/News/chn_soc/20090511/Searchina_20090511015.html
ここでは本物だと言っていますね。
しかし、何と比べて本物としたのでしょう?
300枚製造されたとありますが、このメダルがヤフオクなので常に出ているのを見ると、国内だけでそれ以上が流通されているように思います。
『中国の他の都市でも同じ種類のメダルが見つかっているという回答を得た。』とのことから、中国国内でも流通していることがわかります。
私は、このメダルは戦後、正規のメダルを模倣して造られた贋作ではないかと考えています。
正規のメダルから型を取ったのか、それとも金型が流れたのか(どこから?)....
私がこの写真のメダルを入手したのは、京都の骨董市でした。
当時まだメダル収集を始めたばかりで、これがどういったものか知りませんでした。
今は先ほど書きましたように贋作ではないかと疑っています。
しかし、「贋作は美術の一部」だとも考えていますし、これはこれで歴史を背負っているとも思い、コレクションとして大切にしています。
0 件のコメント:
コメントを投稿