若き彫刻家たちが集まった「ハニベ会」は、大正14年に銀座松屋で彫塑小品展覧会を行い、会の雑誌としてこの「ハニベ」を創刊しました。
参加作家は、大塚辰夫、小野田高節、片岡角太郎、唐杉誠一、吉田久継、武田梁、都賀田勇馬、中村甲藏、清水彦太郎、日名子実三です。
朝倉文夫
この雑誌にこの写真!
貴重ですね!
ただこういう癖のある芸術家が集まって作ったような雑誌は長続きしない。
「ハニベ」は何号まで続いたのかしら?
この創刊号では13ページしかないところに、後半になるにつれ芸術漫談や作家の滑稽話とネタが尽きてきます。
お高くとまる「芸術」と異なり、武田梁の言うところの「極平民的な彫塑の小品展覧会を開催して、世間の人々が容易に吾等の作品を手に入れる事の出来るようにしよう」を会の主義方針にした結果、こういう雑誌になったのでしょう。
雑誌創刊の一昨年、大正12年には関東大震災があり、芸術家たちは社会に向けて何かできないかと考えます。
今和次郎ら作家たちが焼け跡に建てられたバラックにペンキで絵を描いた装飾バラック装飾社もその一つであり、その活動には日名子実三も参加しています。
「ハニベ会」もそういった考えを持った団体だったのでしょう。
しかし、『極平民的な彫塑』の書きっぷりが逆にお高くとまる「芸術」に対する拘りを感じますね。
それと、興味深かったのが「祝発刊」ページに書かれた方々です。
貴金属宝石商 大西錦綾堂、外山建築事務所 外山金作、鎮銅彫刻 石井商店、石膏師 松平新吉、石膏師 西沢寅吉、鎮物師 岡本謙三、鎮物師 角川朋吉 喜八、白井運送店等々...
産婆さんもいます。何故?
こういう作家周辺の方々の名前を眺めると、当時の世界が彩色されて見えてきますね。
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