2020年5月28日木曜日

畑正吉 作「徳川義親侯爵」電気鋳造レリーフ


畑正吉による「徳川義親侯爵」のレリーフです。
このレリーフは石膏原型から電気鋳造で制作されたもので、メダルの金型製作に用いられます。
その為、この像が実際のメダルに使用されたかどうかは不明です。
以前に紹介しました「彫刻と工芸の七十年 畑正吉」にも書かれてはいませんでした。
(徳川家正の胸像を制作したことは書かれていましたが)

このメダルに「MARQUIS(侯爵)」とあることから、戦前に制作されたことがわかります。
そして、徳川義親と言えば徳川美術館!
尾張徳川家19代当主の彼は伝来の重宝類を一括寄贈し、それを公開する施設として
1935(昭和10)年に徳川美術館と蓬左文庫を起ち上げます。
もしかしたらこの公開を記念してのメダルだったのかもしれません。


さらに、徳川義親は北海道の木彫り熊のルーツだとされています。
スイスのベルンに寄った徳川義親が同地の熊の木彫りを購入し、北海道二海郡八雲町にある旧尾張藩士たちが入植した農場「徳川農場」に送って、農場で働く農民たちや付近のアイヌに、冬期の収入源として熊の木彫りを生産するよう勧めたことがルーツとされています。
彼は農民美術運動にも関わっていたのですね。

戦後の徳川義親は『侯爵としての社会的権威と尾張徳川家の巨額の資産を失った後の義親の活動は精彩を欠き、華族制度の廃止によって「革新華族」としての思想と行動はその歴史的使命を終えた』と評されるほどになります。
ですが、彼の功績は徳川美術館や蓬左文庫等と「美」と「歴史」を後世に残したことに尽きるのではないかと思います。

もしこのメダルが世に出ていないものであるなら、是非徳川美術館でメダル化して頂きたいものです!!

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