土方久功の彫刻作品の多くは戦後に制作されたものですが、その根源には彼の南洋パラオでの生活体験があります。
ですから私は、彼を戦後の彫刻家と言うことに躊躇します。
彼の作風は原始美術的であり、表現主義的です。
その美術はナチスドイツ下では退廃美術と呼ばれました。
日本においてもこのような前衛美術は、民意の下で抑え込まれます。
戦時下では土方久功の彫刻は評価されなかったでしょう。
また戦後の前衛、抽象彫刻にとっては時代遅れの作風です。
この真空の場所に土方久功はいます。
だから私は、彼を遅れてきた近代彫刻家と呼びたい!
水木しげる先生の戦記物がそうであるように、私たち日本人にとって南洋はユートピアでありながら、私たちの作り上げたデストピアでした。
この思いが戦後のエンターテイメントとしての「南洋物」を生みだしたのだと思います。
土方久功の作品もそれに連なるものだと思います。
土方久功は、私にとって戦時下の彫刻家です。
追記:だからこそハリウッドのモスラが中国産なのは納得いかない!
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