今日は、犬山市の岩田洗心館へ「芸術の終末」について、三頭谷さんのお話を拝聴してきました。
お話の中にあった、日本の芸術への信仰が昭和初期にピークを迎えたという説。
私もそう思います。
そして、その信仰が現代では形を変えており、その結果「芸術」という分野が衰退していくだろうとのことでした。
そこで思うのは、現代における新興宗教の衰退です。
宗教学者の島田裕巳が言うには、『生長の家が衰退し、PL教団も衰退している。天理教も立正佼成会も、そして霊友会も信者の数は減っている。しかも、衰退の勢いはかなり激しい。』とのこと
http://online.sbcr.jp/2015/12/004150_2.html
この衰退の推移と、日本芸術の推移とは同調しているのではないか。
私はそう考えます。
というより、日本の芸術とは、新興宗教の一分野だったのではないかとさえ思います。
日本の新興宗教史をまとめると
1.明治初期の内村鑑三を代表とするキリスト教の広がり
2.明治後期から大正にかけての新宗教、大本や天理教やの組織化
3.昭和10年の大本事件に見られる国家による弾圧
4.戦時下の宗教の一元化
5.戦後の創価学会等の拡大
6.80年代の新興宗教の世界への進出
7.昭和の終わりとオウム真理教事件
8.現代、新興宗教の衰退
簡単ですが、こんな流れかと思います。
これに日本の日本彫刻の状況を当てはめてみれば、例えば1.なら、キリスト教信者でもあった近代彫刻の祖、荻原守衛がその時代を代表し、2.ならば岡田式静座法を信じた中原悌二郎ら、荻原守衛の次世代作家の広がり。
3.なら、芸術信仰のピークを体現する橋本平八、堀江尚志、木村五郎ら若い彫刻家の死。
4.では、戦争彫刻。
5~6.では、1949年からの読売アンパン時代からの公共彫刻乱立期。
7.ポストモダン時代...
ちょっとざっくりし過ぎてるかもしれませんが、こうして見れば、新興宗教の発展・衰退と芸術のそれとは同じような流れであったと言えると思います。
そう考えれば、「芸術の終末」を芸術のみの分野で考えるわけにはいかないでしょう。
そして、新宗教が今後どうなるかを考えることができれば、芸術もまたどうなっていくかの予想ができるかもしれません。
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