今までにも何度か紹介しました、陽咸二の作の絵葉書です。
以前の紹介一覧
「降誕の釈迦」は、1929(昭和4)年に行われた構造社展に出品された作品です。
この釈迦像は、彼の作品の代表作として考えられており、数年前に見つかって、現在宇都宮美術館に収蔵されています。
釈迦と言えば、この像に見られるように、「天上天下唯我独尊」と、この世で唯一の解脱者として、ある意味で自身の孤独を宣言し、親も捨て、子も捨て出家されます。
そんな釈迦が、キリストの母子像のように、母である摩耶に抱かれた姿というのは面白いですね。
インドやそれに影響を受けた日蓮宗系では、摩耶信仰があるそうですが、これらは遠く西洋文化の影響を受けているのではないでしょうか。
古代キリスト教もまた、インドの文化に影響を受けていることを考えると、より面白いですね。
この母子像もまた、アールヌーボーの影響を指摘されています。
それと、僕の所蔵の陽咸二のメダルを一つ紹介。
常盤生命保険会社に使われた「馬上勇士メダル」で、3×2.5cm。
これも原型は宇都宮美術館蔵。
西洋ファンタジーを感じさせるデザインですね。
日本の近代彫刻は、「像ヲ作ル術」から始まり、朝倉文夫や荻原守衛などの影響を受けつつ、またロダンやブールデルなど、その時々の西洋彫刻に強く感化されつつ進歩していきました。
そして、 この陽咸二の時代になると、そういったものを取捨選択し、(程度もあれ)独自の彫刻を生み出せるようになったと言えるでしょう。
陽咸二はそういった変換点の作家だと言えます。
しかし、その後の戦争の時代によって、より戻しというか、もう一度「日本の彫刻」とは何かを問われることになるのですねどね。
そういった時代に早世の陽咸二が無かったことは残念です。
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