2013年5月12日日曜日

宮島久七 作「妓」 陶のレリーフ


宮島久七による陶で作られたレリーフです。
宮島久七は、彫刻家として出発し、戦後あたりからはデザインの仕事を主にしたようです。
このレリーフは、いつ頃の作なのかはっきりわかりませんが、額の様子からは戦後のものに思います。
玄関に置いて飾っている作品で、気に入っている一点です。

戦前の彼は、若手の彫刻家としては活躍の場が多く、オリンピツク芸術競技への出品や朝鮮昭和五年国勢調査記念章、高校野球の記念メダルなど、朝倉文夫や日名子実三、畑正吉らと肩を並べて仕事をしています。
その当時から、「デザイン」としての彫刻に焦点を当てた仕事をしており、そこが他の彫刻家と異なった所なのでしょう。

下の図は、1939(昭和14)年に行われた第一回聖戦美術展の出品作です。
レリーフの形状が凸凹反転しており、不思議な視覚効果によるデザイン性が見られます。
プロパガンダの要素が強いこういった展覧会でも、このような面白い仕事が評価されてたのですね。


戦後となり、「生活デザイン」を標榜し、その仕事に特化した彼の姿は、彫刻の社会化を目指しながら、立ち位置が不安定なままだった構造社などの作家に比べ、先見の明があったと言えるのかもしれません。

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