2016年7月22日金曜日

仏印現代美術展覧会 覚書

1943(昭和18)年に行われた仏印現代美術展覧会。
当時、日本占領下のフランス領インドシナ。現在のベトナム、ラオス、カンボジアあたりですね。

この展覧会にあたっての新聞記事を読んだので、そのメモです。

この展覧会の一昨年に「仏印巡回現代日本画展覧会」が、「大東亜情報局」が後援、フランス大使館協賛、国際文化復興会主催で開かれています。
この「仏印現代美術展覧会」は、どういった後ろ盾があったのかは、この新聞記事ではわかりませんでしたが、仏印作家の絵画、彫刻、工芸が120点あまり日本で展示されます。

記事には、この地域の作家にはフランス系と支那系があり、その交流によって文化が成り立っているとあります。

展示作家には、「アングベルティ」、「フアン・タイ」、「ルオン・スアン・ニー」、「グエン・ヴァン・ホアイ」、「ト・ゴツク・ワン」、「チャン・ヴァン・ハ」、「グエン・ワン・チュオツク」、「グエン・ヴァン・テイ」、「グエン・ワン・ヒニユ」、「ヂェップ・エム・チャウ」等。

フランス系と支那系文化の混合作品として、「ヂェップ・エム・チャウ」の「少女」、「ナムソン」の「安南の少女」、「グエン・ヴァン・サン」の「トンキンのお針女」、「グエン・ヴァンシェン」の「浜辺の魚商」を上げています。

彫刻では、フランス系の「ジョン・シエール」の「ラオス人」、「パリック」の「鹿」、後はビエンホア美術学校の生徒の作品が良かったとか。


★以下、調べたもの-------------------------------------------------------------★

ビエンホア(Bien Hoa)美術学校は、現在もベトナムにあるようです。

ビエンホアという町は陶器生産で知られます。
この地に、1903年にはビエンホア職業教育学校設立され、1913年にビエンホア美術工芸学校となります。

美術学校の作品を検索するとこの二つが
http://www.sothebys.com/en/auctions/ecatalogue/lot.271.html/2015/modern-contemporary-southeast-asian-art-hk0565
http://www.jansantiques.com/Lot/jac2110.php

確かに面白い。
海外作品は、文脈がわからないので興味が沸きます。
中国の古代彫刻と西洋美術が混ざったような作風ですね。

画家はベトナム系が多いです。
それには、1925(大正14)年にハノイで設立されたインドシナ美術学校の影響があるようです。

昭和18年という戦火の下、たしかに軍部の影響があり、プロパガンダとして利用されたのでしょうが、こういったアジアの国々との交流展が戦時になって初めてなされているわけです。
この昭和18年には、ルオン・スアン・ニーら3人が日本に訪れています。
こうして、他のアジアの現代美術作家との交流が始まったのですね。

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