平成最後の日に紹介するのは、このメダルとしました。
畑正吉作「皇太子殿下御結婚記念」メダルです。
1959(昭和34)年、今上天皇陛下と皇后様(あと30分程で上皇、上皇后となられますが)の御結婚を記念して制作されたメダルです。
明治15年生まれの畑正吉は、当時77歳。どのような想いでこのメダルを制作したのでしょう。きっと次の時代を想いながら、このお二人の姿を描いたのではないでしょうか?
このメダルは、畑正吉らしい誠実な仕事の中に、陛下を若干あおり気味に、皇后様を真正面にすることで、陛下の次の天皇となるという重圧と、陛下を支える皇后様という姿をも描いているようです。この姿がそのまま現在のお二人の姿に重なるという事が、畑正吉の仕事の凄みを感じます。
天皇の肖像というのものは、御真影のあった戦前が一番多くあったでしょう。
明治天皇は写真を嫌い、キヨッソーネの描いた肖像画と、晩年の横顔くらいしかありません。大正天皇の肖像画は多く出回ったのですが、如何せん期間が短く、やはり皇太子時代から肖像が描かれた昭和天皇が一番多くあったと思います。
今上天皇は、それに比べれば少ない。
これは象徴としての天皇というあり方の違いだと言えるではないでしょうか。
メダル等の肖像となるのは、肖像となった者自身を称える場合です。
今上天皇は、それを望まれなかったのかもしれません。
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