2016年1月4日月曜日

Intermission 金沢21世紀美術館にて 生誕百年記念 井上有一展を観る。



まとめて拝見したのはこれが始めて。
圧倒!
素晴らしい展覧会でした。
分厚いカタログも買っちゃった。

井上有一の書はどこかせつない。
センチメンタルとまで言わないが、 それがどれだけ激しい筆使いでもカワイサや愛嬌がある。
だから「花」なんて書くとちょっと鼻についたりもする。
それが「文字」が持つものなのか、字体ゆえか。

写真もOKとのことで、ありがたい。
上の写真は、井上有一の「噫横川国民学校」。
漫画「とめはねっ!」でも大きく扱われていましたね。

東京大空襲によって、教員であった井上の教え子たちが目の前で焼き殺されていく様子を描いた書。
「アメリカB29夜間東京空襲 闇黒東都忽化火海 江東一帯焦熱地獄...親は愛児を庇い子は親に縋る...全員一千折り重なり 教室校庭に 焼き殺さる...噫呼何の故あってか無辜を殺戮するのか...倉庫内にて聞きし親子断末魔の声 終生忘るなし」

美術館には多くの外国人、特にアジア系の人が多くいらっしゃっていました。
「漢字」を展示したこの展覧会では、彼らも面白く見ることができたのではないかと。
けど、この「噫横川国民学校」はどう見たのだろう?

井上有一の評価というのは、「とめはねっ!」でもあったような、貧しさの中でも純に書に取組んだ作家というものなのでしょうが、 辻惟雄、村上隆著「 熱闘! 日本美術史」の中で、村上さんがバブル時期に持ち上げられた故の鼻持ちならなさを語っていて、そういう見方もあるんだなとちょっと面白く読みました。

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