2016年1月24日日曜日

鎌倉近代美術館 「その後の円空彫刻展」絵葉書


今月の31日をもって閉館される鎌倉近代美術館(現 神奈川県立近代美術館 鎌倉館)に関する資料は何か無いかと探していたら見つかりました。

1963年5月に鎌倉近代美術館で行われた「その後の円空彫刻展」の絵葉書です。

「その後の...」と付くにはその前があるはずで、1960年に「円空上人彫刻展」が行われています。
それだけでなく、この文言には、1957年に岐阜県立図書館で開催した円空上人彫刻展から始まった円空ブームの「その後」という意味もあるのでしょう。

時は高度成長期、 集団就職で地方から都会へと人が流れていく中で、寒村から発見される円空仏たち。これらは「オラが村のハイカルチャー」として、地方に目を向けるきっかけになり、それゆえにブームとなったのでしょう。

そう、円空仏は、ハイカルチャーとして、モダンな表現主義的な彫刻として橋本平八らに発見されたわけですが、地元の人からしたら、それは土着信仰の対象です。
また、芸術とは、基本的に人工のものを至高とする文化ですが、それに対して円空上人は自然信仰、自然の中に神を見出します。
そういったまったく異なる美のベクトルを持っているの円空仏の魅力であり、橋本平八の魅力です。

先日、映画 『みんなのアムステルダム国立美術館へ』 という アムステルダム国立美術館改装のドタバタを描いたドキュメンタリーを観ました。
そこの日本美術のコレクション(仁王像)になされた日本人坊主による奉納式は、見てて変なんですよ。
日本の古き美を、現代の眼でしか見ることができないという矛盾。そしてそれが歴史であるという現実。その歪みを海外からだと特に強く思うわけです。

円空仏は、そういった歪みを特にも持つ「彫刻作品」ですね。

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