2014年4月13日日曜日

Intermission 西田秀雄著 「日本美術と児童画」


この本は、昭和19年12月という、戦争末期に発売されたものです。

前半は、著者自身の児童画教育法を述べています。
そこからは、自由で豊かな児童画を目指す、著者の子供たちへの優しい視点を感じます。
『芭蕉の「子に飽くと申す人には花もなし」の句は児童画を真に楽しい気持ちで見ることのできる人こそ、芸術を愛し得る人であると解してよいであろう』とまで述べています。

後半は、日本美術と児童画との関わりについて述べています。
そして、その当時の美術作品として、あの藤田嗣治の「アッツ島玉砕」について、書かれています。

その一部を抜粋
『この絵を見てどんな気持ちがするか。」と言ったところ、「この兵隊さんの仇討をしてやるぞ。」「日本の兵隊さんがこう言う風にして死んでいく。くやしいくやしい、早く大きくなってこの兵隊さんの代わりに戦争しに行くんだ。」子供の心のどん底からほとばし出る悲痛な言葉に、昭和の子供の真の姿を強く感じた。』

作者は授業として藤田の「アッツ島玉砕」を鑑賞させたようです。
その結果、子供たちはケレン味のない教科書通りの素直な対応をしています。
この子達が、後の針生一郎(彼は当時この絵を見て違う印象を持ったようですが)や吉本隆明になるのだろうな。

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