2023年1月23日月曜日

大正3年改正 菊地石膏模型所 「石膏模型目録」



菊地鋳太郎による石膏模型所の「石膏模型目録」は、明治40年改正版が存在するよう。
この大正3年改正版はその10年後の発行となります。




販売カタログですので、各石膏像の価格が記されており、この大正3年版では、像例えば「ミロ島のヴエニユス(ミロのヴィーナス)胸像 原寸大」が「金拾参圓五拾銭」となってます。
これが、他の版ではいくらになっているか、興味深いところです。




他に興味深いのは、菊地鋳太郎作と思われる伊藤博文や東郷像のような日本人を描いたものがいくつもある事。雪見灯篭の石膏像なんていうのもあります。
こういった作品が、このカタログの表紙の中心に添えられている点も興味深い。
また、昭和に入りモチーフとして多く用いられる二宮尊徳、和気清麻呂、武内宿禰がすでにラインアップされている事もそうですね。


次に、手工科や図画の学生用として安価に作られた石膏セットが販売されている事です。
その販売に尽力されたのが東京高等師範学校の岡山先生、新潟県師範学校の西垣先生、東京赤城小学校訓導山本先生と記してあり、戦前の手工教育論者であった岡山秀吉、同じく新潟は西垣維新と思われます。山本先生は不明。
この石膏セットは、明治40年改正版はあるのでしょうかね?
以降の版でも内容に変化があれば、それは石膏での美術教育の発達史の変化だと言う事です。
面白いですね。




あと、私の所有する「百合花ノ像本」も載ってました。
良かった~

最後に、「注意」として粗品を乱造して安く売っている他業者があるようで、気を付けるように書かれています。
大正3年には、そでにそういった業者が出回っていたんですね。
もし、それが現存するなら、それもまた観てみたいです。

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