2012年11月11日日曜日

日名子実三 原型「日独対抗陸上競技メダル」 

 1929年(昭和4)に、後に同盟国となるドイツと行われた陸上競技大会のメダルです。
原型は日名子実三。 
天岩戸のワンシーンである、アメノタヂカラオによって岩戸が開けられる姿が描かれています。
アメノタヂカラオは、腕力・筋力を象徴する神であり、スポーツのことだけでなく、ここには日本の「力」の誇示といった意図をがあるようにも思えます。

さて、 近代の中で「神」の御影を描くにあたり、古来の日本の技法でなく、この像にみられるような西洋的な技法を用いられるようになります。
より直接的で肉体的な姿によって、日本の「神」が描かれます。
絵画で言えば、原田直次郎の「騎龍観音」や中村不折の描く「神」像、岸田劉生の「麗子像」なんかも、こういった和洋折衷の「神」の御影だと言えるでしょう。
そういった神話の世界が、西洋的な方法で表現されることに違和を感じるのですが、当時はどうだったのでしょう?この違和感そのままに「新しさ」または「モダン」として受け入れられたのかもしれません。だからこそ、日名子の描く「神」像に需要があったのだと思います。
ただし、絵画による「神」像の技法は、「戦争画」として完成されますが、彫刻においては、このまま戦後を迎え消えていくことになります。

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