1923(大正13)年5月3日から18日まで上野で行われた「復興記念合同彫塑展覧会」の絵葉書です。
前年の9月1日に起きた関東大震災への慰撫を目的に行われた、彫刻の展覧会ですね。
その年に官展が行われなかったことで、彫刻家の大きな収入源も閉ざされたために行ったという面もあるでしょう。
生活が大変な時に芸術なんて後回しになるものですからね~
安藤照「芽」
陽咸二「日高川」
松平栄之助「婉」
長谷川栄作「懐胎」
朝倉文夫「容羞」
この中で、私が紹介したことのない作家は松平栄之助です。
彼は、松平家の分家の人間のようですね。
さて、これらを見て思うのは、いつもの官展の作と変わらない裸婦の像たちってことですね。復興をテーマにしているわけではない。
もちろん、現在のARTのように何かしらのテーマを設けて展覧会をする時代ではないんですよね。
それを行ってくるのは、もう少し後の戦時下での展覧会。いわゆる戦争画の時代。
逆に言えば、戦時下になってこそ「テーマを持った合同展覧会」が生まれるわけです。
言わば「復興記念合同彫塑展覧会 」は、その間を繋げた展覧会であり、社会が戦争の時代へと向かうことを示す展覧会であったと思います。