岡本唐貴作「無題」
吉原義彦作「ひきあげろ!」
の絵葉書です。
第二回プロレタリア美術大展覧会は1929(昭和4)年に行われました。
その時、販売された絵葉書だと思われます。
岡本唐貴の「無題」は「争議会団の工場襲撃」として晩年に再制作されているようですね。
当時は作品名を付けられなかったのでしょう。けれど見る人が見ればわかるといった作品だったのでしょうね。
300号というサイズ、構成的な色彩と絵画として見れば岡本唐貴の作品の方が優れているのかもしれませんが、絵画の持つ熱量は暑苦しい肉の壁が迫ってくる吉原義彦の「ひきあげろ!」に感じます。
正面に子供を配置したわけは何でしょう?
プロレタリアートのプロパガンダを信じる、殉教者のような純粋な笑顔のこの子が正直怖いです...
プロパガンダの洗礼を受けた子供たち、ヒトラー・ユーゲント、毛沢東の紅衛兵、そして日本の軍国少年少女にオウムチルドレン、皆同じように純粋な笑顔だったのでしょう。
この純粋な信仰者の狂気を、当時のこの作家も持っていたのかもしれません。
吉原義彦は後に従軍画家として活動します。
それは、この時代に作家として生活し食っていくためでもあったかもしれませんが、純粋な信仰者の狂気が「プロレタリアート」から「日本」に移行しただけなのではないかと考えてしまいます。
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