2014年8月13日水曜日

Intermission 藤井浩祐の作品展が開催されるそうです。

8月29日~10月19日の間、岡山県井原市田中美術館にて「彫刻家 藤井浩祐の世界」展が開催されるそうです。
藤井浩祐は、1907(明治40)年、東京美術学校彫刻科卒、第一回文展に出品します。
以後も官展に出品を続け、近代日本彫刻史を第一線で見続けた作家です。
官展だけでなく、銅像制作を行い、また日本美術院の同人でもあり、 児童彫塑の展覧会を行うなど、その活動は幅広い。
さらに、下の文鎮やペーパーナイフの様な作品までも多く手がけています。

藤井浩佑作 毎日新聞社主催 第14回映画コンクール記念品

藤井浩佑作 早稲田大学、大隈重信像の ペーパー ナイフ

作品は多数ありながらも主となるものが戦火で失われたことと、彫刻の啓蒙書である「彫刻を試みる人へ」の執筆などの多彩な仕事ぶりによって、逆に藤井浩佑像というものの焦点が合いにくい作家です。

また、古風というか伝統的というか保守というか、どこか前時代的なイメージを抱かせる作家でもあります。同時代の朝倉文夫や北村西望が、新進気鋭として出発したのに対し、一歩引いているように見えます。
扱う主題は女性像が多いのですが、主体性を持つ女性というより、浮世絵的な男性視点の女性像、柔らかく母性を感じさせる女性を得意とした点も、前近代的に感じさせる要因なのでしょうか。
かと言って国粋というわけでもなく、そのため戦時の時風に乗ることもなく、 たんたんと「藤井浩佑」という作家としての仕事をこなした人物ではないかと考えています。
それは、市井のために、他者の為にある彫刻という、とても優しい作風であり、それが藤井浩佑という作家なのだと思います。

今回の展覧会では、そんな藤井浩佑を日本美術史に位置づけるようなものとなるのではと期待しています。

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